2012年5月15日 (火)

お笑い大蔵省極秘情報

10点満点で、6点。

1996年だから、16年前の本。当時の政治情勢がどうだったのか、もう覚えていないが、小渕総理の時代だろうか。橋本総理の頃か。大蔵官僚バッシングの嵐が吹き荒れている、と書いてあるが、この頃そんな話題ってあったかな。

登場するのは3人の現役大蔵官僚。現在何人残っているのかわからないけど。彼らの主張、論旨をなるべく正確に再現するため、あえて対談形式で全文を掲載したと書いてある。

所詮匿名の暴露記事だから、どこまで信憑性ががあるのかわからない。ただ、3人の主義主張、発言内容や言い方がかなり似通っているから、人物を特定しないようにいくらか編集はしているのだろう。あるいは実は同一人物なのか、もしかするとこういう連中しかいないのか。

あとがきにも書いてあるが、彼らの発言内容は貧弱。
天下りを誇り、あらゆるものにランクを付け、文書処理能力を自慢し、勉強以外もなんでもできるとアピールしている。この他、大蔵官僚は世界のトップだと語り、俺たちがすべてを決めて日本を動かしているのだと語りながら、結果責任については毛ほども感じていないところも全員共通。うまく行ってるのは大蔵官僚の力、失敗してるのは他省庁や政治家の責任。責任を取らないんだから、そりゃ言いたいこと言えるよな。

挙句、大蔵省だけはアンタッチャブルだと誇らしげに語る。どんなに不祥事があろうとも決して本質的なダメージは受けない、なぜなら司法の予算権限は大蔵省が握っているから、逆らったら声を上げることもできなくすることができるのだ、と。

本書に恣意的な編集がなされていないとすれば、こういう連中は、優秀とはいえないんじゃないかなあ。
「能力がある」ことと、「能力を活かす」ことは別物。こいつらより能力が劣っていても、こいつらより国益に叶う人物は、数倍~数十倍はいるんじゃないかなあ。根拠はないけど。

なにせ、あの永田寿康だって大蔵官僚OBだからね。東大法学部じゃないけど。キャリア2万人のトップ20人、と言ったって、こんな連中が混ざっているわけだ。

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2012年4月18日 (水)

電験三種攻略その3 理論-2

さて、理論。
根本的に理論の理解が怪しいことは自覚していたので、きちんと理解することを目的にして勉強した。「短時間で必要最低限だけ勉強して合格する!」みたいなことを推奨している本やサイトは多いし、それを否定はしないけれど、俺の場合目的が違った。もちろん試験に合格するというのは重要な目的だが、それ以上にきちんと理解することに重点を置いた。勉強する以上、単に資格を取るだけじゃなくて、実務に役立てたいからね。電験三種は理解していなくても合格できる試験だけど、実務での応用は理解してないと難しいから。

いろいろな参考書を買って、買うだけ買ってほとんどは積みっぱなし。薄い本だと内容が浅く、理解するのが難しいことが多い。厚い本だといいかといえばそうとも言い切れなくて、そもそも手に取るためのハードルが高いし、単に記述が冗長なだけというのも多い。

その中で、唯一最初から最後まで全部やって、問題も全て解いたのはこの本。

いい本だと思ったけど、amazonの評価は高くないし、絶版なのね。

問題を解く際の式の変形や、重要公式から他の重要公式を導く方法など、省略が少なく丁寧に記載してある。一足飛びに結論を書かれることがないので、きちんと式を追いかけていけば、内容が理解できる。当然ながら、一般的な数学の勉強法と同じく、読むだけでなく自分でペンを動かして式を書いてみること。そうすれば「理解できていないのか」「理解できたがテクニックが必要な変形で、テクニックを使うのが怪しいのか」「ひらめきが必要な変形だから、理解した上で覚えてしまったほうが良いのか」が判断できるようになる。

惜しむらくは、重点項目だけに解説を絞り込んでいて、範囲を網羅できていないこと。本書だけで合格点を取るのは、正直なところ無理だと思う。過去問をやってみると、本書がカバーしていない分野からの出題って結構あるし。なので、本書の他にテキスト2冊と、過去問集を併用した。

過去問は他に「精選問題集」というのも使ったけど、こちらも絶版みたい。
基本的には「必修項目」で勉強して(演習問題も全てやった)、過去問に挑戦。解けなければ「必修項目」を紐解きながら考えて、それでもわからなければ「これだけ理論」を参照。「これだけ理論」でも分からない問題だけ「徹底解説」を読む、というスタイル。

最初に「必修項目」を通して勉強。基本的には1日1単元だけど、それにこだわらずに気分が乗れば多く進めたし、理解が怪しいところには時間を掛けた。

勉強するときは、新しい項目は夜。毎日、だいたい1時間くらい。それ以上は集中力が続かないから、スパっとやめてしたいことをする。で、酒は飲まずに寝て、翌朝早起き。30分くらい、前夜掛けた時間の半分以下の時間を使って復習。内容によって、読み流すだけのこともあれば、式の展開を書くこともあるし、演習問題をやるだけのこともあった。復習すると記憶は定着するし、理解が怪しいところがはっきりしてくるので、これはとても重要。

過去問に挑むときは、問題を読んですぐに解き方を思いつかないときは、さっさと諦めて解説を読む。最初にどう手を付けていいのかさえわかれば解ける問題もあるし、公式が思い出せないから解けない問題や、理解できてないから解けない問題もある。なぜ解けないのかは2回もやれば自覚できるから、夜挑戦した問題が朝解けなければ、その日の夜は再度その問題について、テキストを見たり公式のメモを見たりしながらもう一度解く。その上で、更に翌朝挑戦してみれば、大体解ける。2回目に挑んで解けなかった問題は印をつけておいて、重点的に復習する。同じ年度の問題を10回解いたとして、理解できた問題は2回くらいしか解かないし、10回やってもまだ解けない問題が残ってたりもする。それでも、5回を超えたあたりから、ポイントさえ思い出せば解けるようになってくるので、自信がついてくる。

ちなみに、前述のとおり、すぐに解き方を思いつけない問題はさっさと諦めるので、1年分やっても30分くらいで終わる。解けるようになってくると、計算する時間がかかるようになるが、解けてる間は面白いので苦痛ではない。考えてもわからない問題に挑むのが一番苦痛なので、そういう時間は短く済ませるのがコツと言っていいのかな。

あああ、また長くなった。まだまだ書きたいので、続く。


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2012年4月 7日 (土)

コンテナ物語

10点満点で、8点。

分類に困る本。世界を変えたコンテナについて、その登場と普及するまで、そしてコンテナの登場で世界がどう変わっていったのかを克明に追っている。

本書を読むまで知らなかったのだが、「大量の貨物をコンテナで運ぶ」というスタイルが出来上がって、まだ50年ほどしか経っていないのだな。規格サイズのコンテナを船に詰め込んで、陸路もそのままコンテナを運ぶ。今や日常的に目にする光景だし、合理的だが単純なアイデアなので、もっと昔から存在するのかと思っていた。

コンテナの普及過程では、アメリカの規制当局がいかに頑迷か、嫌というほどわかる。画期的なアイデアが出てきても、陸運業界、海運他社、労働組合など、様々な組織の要望を受けて許可しないし、自由競争もさせない。これが自由の国アメリカなのかとにわかには信じがたい。今は変わったのか、それともこれが本質なのか。港湾当局も新しいことを認めないが故に、かつての大規模港が、近隣のコンテナ港にあっという間に取って代わられるケースも多数。

標準化と規格化の国というイメージもあったのだが、コンテナ規格化までの紆余曲折も凄い。実務をわかっていない人物が役に立たない寸法を決めたり、各社が自社コンテナの寸法を取り入れようと鎬を削ったり。

コンテナは物流を変えただけでなく、世界のあり方も変えている。戦争の進め方も変えているし(ベトナム戦争がそのスタートだ)、輸送コストの低減から、産業構造まで変えている。まさに「世界を変えた」という表現がふさわしい。

ややボリュームは多いが、面白い本。

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2012年3月24日 (土)

「やわらか頭」になる数学

10点満点で、5点。

読者対象がよくわからない本。
「数学が苦手だった人、嫌いだった人にこそ本書を読んでほしい」と書いてあるが、数学独特の用語が説明なしに使用されていたりして、結局数学が好きな人(得意な人とは限らない)でないと読みにくい本になっている。

例えば、

・10cmの線分に含まれる点の数と、アンドロメダ星雲の直径分に含まれる点の数が同じ
 -> 無限の意味がわかっていないとなんのことだかわからない(密度の濃い無限と薄い無限)

・CTスキャンに三角関数が活用されている
 -> 具体的にどうという記述がないので、なんの理解も感動もない

・ユークリッド幾何学と平行線の公準
 -> 公準とは何か(証明できず無批判で受け入れる前提)の言及がないので、何が問題なのかわからない

などなど・・・

結局、もともと数学に関心があって、ある程度基礎知識がある人でないと読みこなせない本になっている気がする。そして、そういう人にとって見れば、目新しいことは何もない。数学の応用例はいくつか紹介されているが、CTスキャンの話に挙げたように、具体的な記述がないので、知識が増えるわけでもない。

中途半端な本。買って損した。

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電験三種攻略その2 理論-1

理論はすべての基礎になっているから、単に資格が取れればいい人も、実務に活かしたい人も、あるいは勉強の一貫として電験取得を考える人も、これだけは時間をかけてしっかり取り組んだほうがいいと思う。
ひたすら過去問に取り組んで、攻略パターンを身につけるほうが科目合格には早いだろうが、他の科目に取り組むときに時間がかかる。それよりは、理論には時間をかけて、他の科目は短時間に済ます、という戦略のほうが良いと思う。

俺が取り組んだときはもうひとつ、格下の資格勉強をして、浅い知識を身につけるという戦略も取った。これは単にそう考えただけではなく、外的要因(取得を迫られた)事のほうが理由としては大きかったけれど、結果としては正解だったと思う。具体的には、機械保全技能士(電気系一級)、電工二種、一級電気工事施工管理に取り組んだ。

機械保全技能士は、実は実技試験にまだ合格していないので、この資格は持っていない。でも、学科試験のレベルは電工二種よりも更に低いから、これに取り組む価値はあまりないだろう。電気と関係ない問題もかなり多いし。

電工二種も、施工管理のついでに受けた程度なので、コイツの勉強が電験に役立ったかというと、正直ほぼ無関係。でも、初めて電験に挑む人で、電工を持っていなければ、コレから始めるほうが結果的に早いと思う。資格を取れば、自宅のコンセントくらい自分でできるしね。
ちなみに、この時使ったテキストは、資格を取るという意味だけで言うとかなり秀逸なので再掲。

特に技能試験は、未経験の素人でも、短時間で合格レベルに到達できると思う。電工の場合筆記よりも技能試験のほうがハードルは高いので、良いテキストといい道具で練習するのは重要。道具も、俺が使ったのはこれの一世代前のやつだったけど、実技試験の中で一番練習が必要な、ケーブルの被覆剥きが練習なしで出来る道具。これの有無で、練習時間は10時間近く、作業時間は5分以上変わると思う。

そして、一番役だったのが、施工管理の勉強。電験四種程度の難易度で、ほぼ電験の範囲を網羅している試験なので、力試しにも丁度いい。受験資格がうるさい資格なので、受験できない人も多いだろうから、電験の4科目についてひと通り勉強したら、力試しで過去問に挑んでみてもいいかもしれない。ただし工程管理とか、電験には関係ないジャンルも結構あるので、そういうのは飛ばす。ひと通り勉強していれば、電験とは関係ない項目の見わけは付いているはずだし。

ああ、なんか長くなってしまった。
まだ理論の具体的な勉強法について書いてないけど、項目を分けよう。


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2012年3月16日 (金)

電験三種攻略その1 数学

急に書きたくなったので殴り書いてみる。
去年せっかく三種を取ったことだし、二種にステップアップしたいと思っているけれど、まじめに勉強を始めていない自分にカツを入れるためにも。

さて、電験三種に必要な数学力。本とかサイトに依って、「電験三種には数学が必須」とか「数学力で合否が決まる」と書いてあるかと思えば、「暗記で十分」「数学力は大して必要ない」というのまであったりする。俺の経験からすれば、「三種に数学力はあまり関係ない」と思う。

とはいえ最低レベルというのはあって、少なくとも中学数学に不安があるレベルだとキツイ。でも高校数学が必要かというとそうでもなくて、中学数学に毛が生えた程度で十分。何より俺自身、学生時代数学の成績は不可すれすれ(試験の点数だけなら文句なしに不可)だったからね。それでも、数学だけの復習は、特にしなかった。

必要な数学は、

・四則演算(当たり前だ!)
・一次方程式(当たり前だ!)
・二次方程式(必要だと思うけど・・・使ったっけ?)
・因数分解(当たり前だ!)
・三平方の定理(常識だ)
・三角形の相似(ベクトル図を理解するのに必要だと思う)
・指数(定義がわかってれば十分)
・根号(定義がわかってれば十分)

--- ここまで中学数学 ---

・三角関数
 sin, cos, tanの定義と基本的な数値(0, π/6, π/4, π/3, π/2, ...)
 sin2θ + cos2θ = 1の式、もっと言うと0.62 + 0.82 = 1を覚えてれば十分
・対数
 実際に計算で使うことは殆どない、定義さえわかってれば何とかなる(何とかなった)
・複素数
 さすがにこれは必須、分母の有理化も出来る必要がある
・ベクトル
 中学数学かと思っていたけど、違ったらしい
 複素数計算でも何とかなるけど、ベクトル図を書いたほうが早い内容は多い

こんなところか。大した内容じゃない。人にもよるだろうけれど、三種レベルの数学なら、数時間復習すればあとは問題を解いていくだけで思い出せるはず。

とりあえず、電験三種では数学の壁は高くないよ、ということで。
なにせ、中学卒業以来ずっと数学は赤点を取り続けてきたけれど、三種の数学で苦労した覚えはないから。その程度の数学力で十分。

反対に、その程度の数学力なので、二種の数学はとてもハードルが高い・・・


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2012年3月10日 (土)

戦争の常識

10点満点で、8点。

タイトルには「戦争の常識」とあるが、「軍事の常識」といったほうが適切だと思う。入門書に最適な、わかりやすい記述。

国防の常識;
・地政学的知識は必須。
・9.11のあと、アフガニスタン攻撃では団結した諸国が、イラク攻撃では態度がわかれたのは地政学的理由。
・石油の価格を決めているのは、サウジアラビアの王族が贅沢をするために必要な額。極めて非民主的だが、イスラム革命を防止するためにアメリカが支持している。
・安全保障に、戦時と平時の区別はない。

軍隊の常識;
・軍事目標はどういう過程で決定するのか。
・正規軍とテロリストの違い。
・軍法会議とは。

兵隊の常識;
・中国では、軍の最高指揮者が明確ではない。
・軍に階級がある理由。
・軍は徴兵制を望まない。

陸軍の常識;
・歩兵はすべての基本。
・小隊、中隊、大隊、連隊、旅団、師団
・戦車とヘリコプター。

海軍の常識;
・軍艦の区分。
・アメリカに艦隊決戦を挑める国はない。
・潜水艦の脅威。

空軍の常識;
・新しい組織。
・最大の役割は偵察。
・戦闘機の世代。
・現代でも爆撃機は有効。

現代戦の常識;
・弾道ミサイルの脅威。
・局地核戦争の危険性が増大している。
・途上国では核使用のハードルが低い。
・情報戦争は新しい戦争ではない。形が変わっただけ。

自衛隊の常識;
・軍隊というには法制度が未熟。
・高い予算の壁。
・防空能力は特Aクラス。

読みやすくわかりやすい。勉強になった。

3月16日追記;
読んだような気がするんだがなぁ・・・と思っていたら、やはり以前読んでいた

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スエズ運河を消せ

10点満点で、9点。

マジシャンに不可能はない。無から有を作り出し、物体を瞬時に移動させ、時には消してみせる。
その技術は決してステージの上に限られたものではなく、戦場でも有効なのだと証明してみせた男たちがいた。

ジャスパー・マスケリンは先祖代々のマジシャン。愛国心に駆られた彼は、第二次世界大戦への従軍を志願するが、「軍がほしいのは38歳のマジシャンではなく、若くて体力がある即戦力の兵士」とにべもなく断られてしまう。怯むことなく従軍を訴え続け、ついに軍属となった彼は、マジックギャングを率いて戦場で奇跡を起こしてみせる。

その舞台は砂漠、エジプト。観客はロンメル。太平洋戦争で最強と言っても過言ではない将軍、「砂漠の狐」を向こうに回し、マスケリンは見事なトリックを演じてみせる。

砂漠に突如として軍隊を出現させ、アレクサンドリアの港を一夜にして1.5kmも移動し、スエズ運河を爆撃機から消してみせる。実戦を経験しないことに負い目を感じたマジックギャングたちは、わずか3隻の高速艇で港を襲撃し、大艦隊による攻撃と誤認させることすらやってのける。なんと痛快なこと!

当然戦場の話であるから、被害はある。奇跡の秘密を暴こうとして命を落すものもいれば、敵の攻撃で仲間を失ったりもする。しかしギャングたちは、物理的困難も精神的ダメージも乗り越えて、奇跡を起こし続ける。

実は本書の記載にはかなりの誇張や、捏造されたエピソードも混ざっているらしい。しかし、エンターテイナーの、それもマジシャンのエピソードに厳密性を求めるのは、野暮というものだろう。

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2012年3月 3日 (土)

野蛮人の図書室

10点満点で、7点。

基本的には著者買い。教養のない野蛮人が、「騙されないで生きるために」必要な教養を身につけるためのブックガイド。紹介されている本は様々なジャンルにわたり、そして書評の書き方がとてもうまい。
(このブログが5点なら、30点くらいある)

なぜその本を取り上げて、その本から何を得るのか、そのヒントも書かれている。
しかし気になったのは、どうも著者のスタンスが鼻についた。野蛮人に物を教えている本だから、読者よりも視点が高いのは仕方ない。しかし、政治家や官僚、その他著名人など社会に影響力がある人たちに対して、ほぼ全般的に「アイツら本当のことはわかってない、どうしようもないバカどもだ」というスタンスがはっきりと読み取れる。

本書を読む限り、日本を動かしている政治家、外務官僚には、安全保障や国際情勢についての知識がある人物はほぼ皆無のように思える。いるのは衆愚政治を展開する政治家と、エリート意識に凝り固まって大局観を持たない官僚ばかり。そんな馬鹿な、と思いたい。

著者は外務省から切り捨てられた人物だから、恨みを持つのは仕方ないと思うけれど。

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FBI美術捜査官

10点満点で、7点。

著者は、盗難された美術品を追う元専門家。FBIではその歴史は浅く、美術犯罪チームができたのは2004年とあるから、まだ10年も経っていない。そして人の入れ替わりも激しく、専門家が育つ環境ではない。
チームが出来る前から、美術品操作を手がけてきた著者の回想録。

著者も書くように、美術品犯罪やその奪回は、映画ではスリリングに劇的に描かれている。しかし実態は派手さに欠け、アメリカでは美術品の盗難が連邦犯罪にあったのもごく最近。それまでは、州警察の操作範囲を出なかったとか。フランス(だったか)でも最長で3年の懲役しか課すことが出来ず、美術品の盗難とは比較的リスクの小さな大型犯罪だった。ただひとつ、奪った美術品を売ることが難しい、という点を除いては。

美術操作の大原則は、「奪回が第一、犯人逮捕は二の次」ということ。著者は語る。「美術品の盗難や損傷は、人類に対する犯罪である、歴史に対する犯罪である」と。遺跡で発見された財宝は、盗掘者に持ち出された時点で、歴史家の検証を受けるチャンスを永遠に失ってしまう。どういう状態で置かれ、周囲に何があったのか、誰も知ることができなくなってしまう。

こういった、取り返しのつかない事態を避けるために、金で買い戻せるものは金をも使う。著者の書きぶりでは、最終的には犯人を逮捕して金も取り返していることが多いようだが、それでも捜査の過程で金を払うことには躊躇していない。我々が想像する闇市場とは異なり、売買相場が市場価格よりも安い、ということもあるのだろうが。

著者の潜入捜査に、派手さはあまりない。もちろん飛び交う金額は高額だが、スリリングなシーンは殆ど無い。巧妙に相手が犯罪を自覚していることを告白させ(裁判のためだ)、品物がほんものであることを見極めて、合図と同時に捜査官が突入するだけ。ここに至るまで、いかに相手に自分のことを信頼させるか、そして逮捕と品物奪回が同時に出来るよう段取るか、その展開が本書の醍醐味。そのステップは、1.ターゲットを見つける、2.自己紹介する、3.信頼関係を作る、4.裏切る、5.家に帰る、とある。家に帰るというのがいかにも欧米らしい。

本書は合衆国史上最大の美術品犯罪を追いかけ、あと一歩と言う所で官僚主義に邪魔される、その現実も赤裸々に描いている。どの国でも、組織というのは全体が見えていないのだな、と嘆いているところは、まるで著者は日本人であるかのようだ。

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